吻合部潰瘍 - 手術で血管や神経をつないだ箇所にできる腫瘍

外科手術で繋いだところにできる腫瘍

外科手術で繋いだところにできる腫瘍

吻合部潰瘍とは胃切除手術後につなぎ合わせた部分にできる腫瘍です。吻合(ふんごう)とは血管や神経を外科手術で接続した箇所を意味します。傷口の場合は縫合(ほうごう)です。

女性よりも男性に多くみられる疾患で、胃や十二指腸潰瘍による胃切除手術の3カ月~2年後に潰瘍が発生しやすいです。

吻合部潰瘍は胃切除手術後に胃酸が減らずに分泌することが原因で、胃切除範囲が十分でない場合に多く起こります。処方箋を飲んでも改善しない場合には疑う余地があります。

ただ、医療技術の進歩によって、吻合部潰瘍は現在ではほとんど見られなくなりました。仮に吻合部に潰瘍ができた場合は、本人の体質や体調が疑われると同時に、執刀医の手術内容や術後の治療内容が影響しています。

症状は手術前と同じような痛みが出ることが多く、吐血や下血を起こし、貧血や体重が減ることも多いです。

吻合部潰瘍は胃切除後症候群の1つであり、診断はバリウムを飲む消化管X線検査や胃カメラを飲む内視鏡検査で可能です。

胃酸の分泌を抑えることで発症率が減る

吻合部潰瘍は胃の容量が手術で減っているにも関わらず、胃酸の分泌量が変わらないことが主な発生原因です。そのため、胃酸分泌抑制作用のある薬で改善する場合がほとんどです。

胃酸の中でも消化管ホルモンのガストリンが1,000pg/mL以上で、過剰分泌と見なされます。一般的に潰瘍の原因になりやすいストレスによる影響はあまり考えられません。

その影響で吻合部潰瘍は出血や胃壁に穴が開くなどの合併症の発生率が高く、特に胃の全摘出では合併症を意識したいです。

今では医薬品が発達して、胃液をコントロールすることが容易であるため、手術後の状態を確認していれば、吻合部潰瘍まで悪化するケースは少なくなりました。

医療薬では抗コリン薬、抗ペプシン薬、粘膜庇護薬が有名ですが、強力な抗分泌作用を有するH2ブロッカーで、90~100%が2カ月以内に治癒します。それでも改善しないときのみ、吻合部の再手術を検討します。

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公開日公開日 2006.08.22
更新日更新日 2015.05.20

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ピロリ菌事典編集部
ピロリ菌事典編集部
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ピロリ菌を除菌した体験談を中心に、胃との関連性を徹底解説。ヨーグルトによる治療や胃疾患などを紹介しています。

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